◆ 生体分子のかたちの不思議 ◆
〜 DNA,プリオン,SARS,イオンチャネル 〜
※分子表示をJmolに変更!!(画像はChime版で作成) → Chimeによる各種分子データ表示
※上記Chime版ページと以下の # 印のChimeコンテンツはIE以外のブラウザを推奨します。

→ 生体分子の構成元素:Chime版Jmol版

※このページは,2003/12/27,京都において中学生・高校生を対象として開催された上記タイトルの第56回 Super Science Seminarの講義用資料です(当日のPDF版テキスト会場風景旅の記録)。今後も生体分子学習の入門教材として適宜更新を続ける予定です。
 なお,本コンテンツの多くは生体分子と水素結合 # などの本サイトの既存データを活用したもので,*印はその他のコンテンツです。
★本コンテンツを用いた中・高校生対象の出張講座(Win+Chime+インターネット環境の整ったPC設備があるところで,受講者はPC操作ができることが条件),または県立新潟女子短期大学での土曜講座(1回の定員は7名またはPC1台に2名でよい場合は14名で,日程は相談)をご希望の方は,こちらをご覧ください。


生体内にも建築家がいる?
上左:DNA部分構造例,上右:tRNA関連データ例(1ml5のChain B・C;コドンと遺伝暗号表参照)
下左:GFPの例(1hcj),下右:イオンチャネルタンパク質の例(1bl8)
#
※中央のサグラダ・ファミリアの画像は美学ホームページ* 主宰者から提供していただいた写真を加工したものです.
[TOPIC] 2003/10/04-12/14,東京都現代美術館で「ガウディ かたちの探求」展 開催(終了)
フジテレビの情報(展覧会のみどころ)*Googleによるイメージ検索結果『Gaudi』*YouTubeによる動画検索結果『Antoni Gaudi』*
[TOPIC] 2004/08/13,2004年アテネオリンピック*開会式でDNA登場
→ 参考コンテンツ例:The Left Handed DNA Hall of Fame*


1233(1)3(2)3(3)3(4)3(5)3(6)4表1演習1

1. 塗り絵で分子の約束を学ぼう

 上の図はある分子の構造の一部分である。上下二組の原子団の色の濃い部分は水素,炭素,窒素酸素だけからできている。他の原子と結合するときの結合の手の数(原子価)はそれぞれ,1,4,32であり,炭素,窒素,酸素は下図のような結合の仕方をする。これをヒントにして上図の中央部分の原子に色をつけてみよう(●:炭素,:窒素,:酸素)。
※関連コンテンツ:塗り絵による分子クイズ


参考:結合の手の数(原子価;配位結合やイオン結合ができる場合に注意〔例:NH4Cl〕);上から炭素,窒素酸素
※生体分子のPDB(後出)形式データでは多重結合も単結合で表示され,H原子が省略される場合が多いことに注意する。
※参考:Atomic Structure (Steve's Place)

 塗り絵をしてもらったのは,遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)分子上に並んでいるA(アデニン),T(チミン),G(グリシン),C(シトシン)という4種類の塩基であり,この並ぶ順序が生物の遺伝情報そのものである。
 2003年はDNAの二重らせん構造発見50周年 # にあたる。多くの研究者による努力の積み重ねを経て,ワトソンとクリックがその美しい構造を見出したものである。


※DNAの二重らせん構造;4種類の塩基と糖,リン酸(リンを含む)からできている

 この二重らせん構造を保持し,DNAの複製を可能にして遺伝情報を保存しているのは,ATとだけ,GCとだけ,それぞれ向かい合って結合するというとても簡単なルールである。
 そのようにして保たれたDNAの遺伝情報にしたがって,数種類のRNA(リボ核酸)の仲介を経て生体内で重要な働きをする多数のタンパク質が合成されるという生命システムの関係はセントラルドグマ(中心命題)と呼ばれる。


セントラルドグマの模式図
※触媒作用とは,生体内や人為的な化学反応がスムーズに進むようにする働き

 DNAの二重らせん構造の美しさの中にその機能が隠されているように,タンパク質の働きもそれぞれ独自の3次元構造(立体構造)によって生み出される。例えば,タンパク質は熱などによってその構造が乱されるが,それを修復するタンパク質が存在するくらいである。
 生体分子を建築物とみなすと,その構造はどのようにして保持されているのであろうか。Webブラウザ上で分子を自由に動かしたり様々な情報を表示させたりできるソフトウェアのChime(MDL社,http://www.mdlchime.com/*)を利用してその秘密を解き明かしてみよう。


2. 原子から生体分子へ  TOP

 ここで用いる教材はhttp://www.ecosci.jp/bond/hb02.html # に掲載されている。
 巨大な生体分子も,原子が集まってできている。その原子は+の電荷を持った陽子と電荷を持たない中性子からなる原子核と,−の電荷を持った電子からできており,原子核と電子は,電磁気力という力で引き合っている。原子が集まって分子ができたり,分子と分子の間で相互作用が生じたりするのも,この電磁気力の働きである。自然界には電磁気力を含めて4種類の力が存在するが,通常の化学や生物では電磁気力だけを考えればよく,これは原子の構造を考えれば当然のことである。


ある原子の構造の模式図と“自然界の4つの力”
※“自然界の4つの力”については以下を参照(高エネルギー加速器研究機構による)
キッズサイエンティスト【自然界の4つの力】*
※参考:平成14年度高等学校教育課程実施状況調査*科目別分析状況(中間整理)・化学IB*(PDF;問題A2は上と同様の図について)

 原子(元素)の種類は陽子数(=電子数)で決まり約100種類あるが,以下に原子番号20までの周期表を電子配置とともに示す。生体分子や身の回りの物質の多くを構成する元素の大部分はこの中に含まれている。

 周期表の電気陰性度は結合している原子が電子を引きつける強さの目安であり,これが分子の性質や分子と分子の相互作用を考える上で重要になってくる。
 例えば,水分子H2O(折れ線形)は電気陰性度の大きい酸素の側に電子が引きつけられて分子内に電荷のかたよりが生じていて極性分子と呼ばれ,分子は小さいのにお互いの引力が大きいために室温でも液体で存在する。極性の大きい分子は親水性となる。他方,酸素O2のように電荷のかたよりがない分子,二酸化炭素CO2(直線形)やメタンCH4(正四面体形)のようにかたよりがあっても正電荷と負電荷の重心が一致している分子は無極性分子で,疎水性となる。この例のように分子の形(対称性)は分子の性質を決める大きな鍵となっている。


極性分子と無極性分子(http://www.ecosci.jp/chem2/mol_db03.html #);左端は電荷のかたよりを示す静電ポテンシャルの凡例
※分子の形については例えば以下を参照
非結合電子対のドット表示教材 #酢酸分子の形と軌道 #
Googleイメージ検索『"group theory" molecule』*
Symmetry in Chemistry - Group Theory*(例:ホルムアルデヒド*

 続いてDNAやタンパク質などの生体分子を見てみよう。DNAとRNAはC・H・N・O・Pという5種類の元素だけでできている。一方,タンパク質はC・H・N・O・Sの5種類の元素からなる20種類のアミノ酸(硫黄Sを含むのはこのうち2種類)が長くつながったものが主体となっており,その並ぶ順序を一次構造といい,これを決めているのがDNAなのである。


表1の疎水性インデックス順に示した20種類のアミノ酸(上段の左から右へ昇順;http://www.ecosci.jp/amino/amino2j.html
※参考:結合の種類の例(アミノ酸を例に) #

 

表1 アミノ酸の親水性・疎水性  TOP
アミノ酸 分子式 CAS番号 疎水性
インデックス
 log P  酸性・塩基性 極性・非極性 等電点
Arg R アルギニン H2N(=NH)NHC3H6CCH(NH2)COOH 74-79-3 -4.5 -4.20 塩基性 極性(塩基性) 10.76
Lys K リシン H2N(CH2)4CH(NH2)COOH 56-87-1 -3.9 -3.05 塩基性 極性(塩基性) 9.74
Asp D アスパラギン酸 HOOCCH2CH(NH2)COOH 56-84-8 -3.5 -3.89 酸性 極性(酸性) 2.77
Asn N アスパラギン H2NCOCH2CH(NH2)COOH 70-47-3 -3.5 -3.82 中性 極性(中性) 5.41
Glu E グルタミン酸 HOOCCH2CH2CH(NH2)COOH 56-86-0 -3.5 -3.69 酸性 極性(酸性) 3.22
Gln Q グルタミン H2NCO-CH2CH2CH(NH2)COOH 56-85-9 -3.5 -3.64 中性 極性(中性) 5.65
His H ヒスチジン H2NCH[CH2(C3H3N2)]COOH 71-00-1 -3.2 -3.32 塩基性 極性(塩基性) 7.59
Pro P プロリン (C4H8N)-COOH 147-85-3 -1.6 -2.54 中性 非極性(疎水性) 6.30
Tyr Y チロシン HO(C6H4)CH2CH(NH2)COOH 60-18-4 -1.3 -2.26 中性 極性(中性) 5.66
Trp W トリプトファン (C8H6N)-CH2CH(NH2)COOH 73-22-3 -0.9 -1.05 中性 非極性(疎水性) 5.89
Ser S セリン HOCH2CH(NH2)COOH 56-45-1 -0.8 -3.07 中性 極性(中性) 5.68
Thr T トレオニン CH3CH(OH)CH(NH2)COOH 72-19-5 -0.7 -2.94 中性 極性(中性) 6.16
Gly G グリシン H2NCH2COOH 56-40-6 -0.4 -3.21 中性 非極性(疎水性) 5.97
Ala A アラニン CH3CH(NH2)COOH 56-41-7 1.8 -2.85 中性 非極性(疎水性) 6.00
Met M メチオニン CH3SCH2CH2CH(NH2)COOH 63-68-3 1.9 -1.87 中性 非極性(疎水性) 5.74
Cys C システイン HSCH2CH(NH2)COOH 52-90-4 2.5 -2.49 中性 極性(中性) 5.07
Phe F フェニルアラニン (C6H5)CH2CH(NH2)COOH 63-91-2 2.8 -1.38 中性 非極性(疎水性) 5.48
Leu L ロイシン (CH3)2CHCH2CH(NH2)COOH 61-90-5 3.8 -1.52 中性 非極性(疎水性) 5.98
Val V バリン (CH3)2CHCH(NH2)COOH 72-18-4 4.2 -2.26 中性 非極性(疎水性) 5.96
Ile I イソロイシン C2H5CH(CH3)CH(NH2)COOH 73-32-5 4.5 -1.70 中性 非極性(疎水性) 6.02
※疎水性インデックスは以下を参照;Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol., 157, 105-132(1982)
※log PはOn-Line Log P Calculation*掲載の実験値(参考ページ
※極性・非極性はChimeのProtein選択様式と関連(参考ページ*


表1のアミノ酸の親水性・疎水性等によるタンパク質の色分け例(エストロゲン受容体1ereのChain A)
《上》左から,二次構造(後述),疎水性インデックス順,log P値順表示
《下》左から, 酸性・中性〈芳香族〉・塩基性アミノ酸区別,極性・非極性区別,表示.等電点順表示
PDBコード順データリスト #PDBデータのLigand結合部位 # などで各表示可能
※任意のPDBデータについて同様の表示をするにはPDBデータを詳細に見るために # を参照

 H2OやCO2などの低分子の形がその性質と結びついているのと同様に,極めて長大な分子であるDNAやタンパク質でも,DNAの塩基やタンパク質を構成するアミノ酸の並ぶ順序(一次構造という)だけでなく,その折れたたまれ方(二次構造と呼ぶ)などの立体構造が重要である。
 その二次構造の維持に大きな役割を果たしているのが水素結合であり,これはN,O,Sなど電気陰性度の大きい原子が水素Hを介して形成されるものである。


水素結合の構造(最上段でHが水素,XYは電気陰性度の大きい原子,が水素結合)
※参考:
水素結合の距離 #



DNAの各塩基に着目すると水素結合が可能な部位が複数存在するが,特定の組合せが選ばれて二重らせん構造が形成されている。
※参考:西村善文,『DNA二重らせん構造の歴史』,蛋白質 核酸 酵素,2003年5月号,p.710,共立出版



通常のDNAにおけるG-C間の水素結合と特殊なG-四重らせん構造(2a5rより)の例 →
今週の分子/連載95 #
※参考:新しい折りたたみ構造をとったDNA(Nature,2005/08)Abstract(Nature Chemical Biology)



タンパク質の二次構造であるα-ヘリックス(左)とβ-シート(右;逆平行)における水素結合の例;演習16rsaデータより



10個のアミノ酸からなる最小のタンパク質シニョリン(1uao)データから作成したアニメーション(データ表示順はランダム)
※この構造安定には水素結合の寄与があるだろうか? → 世界最小のタンパク質シニョリン #
※データ引用:10個のアミノ酸からなる「最小のタンパク質」の創製に成功(産業技術総合研究所,2004/08/10)

 上図のような条件(原子の種類,結合の角度と距離)がそろった時に水素結合ができることを理解した上で,最初に塗り絵をしたDNAの塩基の図に,水素結合ができると思われる場所を…で書き込んでみよう。
 じつはワトソンとクリックは,これを針金のモデルを用いて試行錯誤して行い,DNAの二重らせん構造を発見したのである(イギリスBBCによる資料ビデオ教材参照可能)。

《参考》分子の親水性・疎水性とオクタノール-水系の分配係数
 分子と分子の相互作用を調べる上で,それぞれの親水性・疎水性は第一に知らなければならないものと言える。その指標の一つとなっているのがオクタノール-水系の分配係数で,表1でもlog Pで示した。これは水とオクタノール(C8H17OH;疎水性)が二層になっているところに調べたい化合物を入れて溶解させ,各層における化合物濃度を測定して求められる。分子が親水性なら水層の方に,疎水性ならオクタノール層の方により多く溶けることを利用したもので,薬の活性や化学物質の毒性などを知る上でも重要な因子となっている。

※参考資料例:http://www.ecosci.jp/chem9/interaction.htmlhttp://www.ecosci.jp/rensai/cs_org.html

指示薬のメチルオレンジとメチルレッドを用いたオクタノール-水系の分層実験の例


3. 生体分子の美しさと機能  TOP

 DNA・RNAやタンパク質の立体構造(全構成原子の座標)は世界中の研究者によってX線回折やNMRなどの手法で求められ,Protein Data Bank(PDB;http://www.rcsb.org/pdb/*)というデータベースに集積されて,共有財産として誰でも研究や教育に活用できるようになっている。
 多くのソフトウェアでその構造を3次元モデルで表示したり様々な解析を行ったりすることができるが,広く使われているものに前出のChimeがある。p.3のDNAモデル例も,以下のタンパク質モデル例(6rsa;PDBのデータは4文字の数字とアルファベットで表記される)も,同ソフトで表示したものである。


分子表示ソフトウェアChimeによるタンパク質の表示例(PDBデータの6rsa


 タンパク質の二次構造で鍵になるのが,上図右のピンクで示されるα-ヘリックス(らせん)構造と黄色で示されるβ-シート(平板)構造であり,Chimeによりわかりやすく把握できるばかりでなく,水素結合表示により両構造が水素結合で保持されていることも容易に理解できる。また,DNAやタンパク質に結合している低分子(リガンドという),あるいはそれを囲むSITEと呼ばれる部分を下図のように周囲と区別して表示させることも可能である。


タンパク質では,離れているアミノ酸が協調作業をして機能を示す!(2fke・1j4rを例に)
左:2fke(リガンドはFK-506)・1j4r(リガンドはFKB-001)と同じ下記アミノ酸配列ですべてα-helix構造にしたもの(MOLDA for Protein Modeling;http://www.molda.org/molda-p/download.html*で組立て)とSITE部位の強調表示
  GVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLE
中2つ:実際の2fkeとその活性部位(アミノ酸はすべてamino色表示)
右:2fkeの活性部位と同じ配列番号のアミノ酸をSITEとした1j4r
※参考:タンパク質の構築原理(理研ゲノム科学総合研究センター/タンパク質構造・機能研究グループ)*
※参考:PDBデータの内容例2fkeの場合;PDBサイトの表示例
※参考:PDB IDのわかっているオリジナルのChimeデータを直接表示するには,一旦ダミーデータの2fkeを表示して,最後の4文字のPDB idを表示したいものに書き直してEnterキーを押す。 → PDBデータを詳細に見るために #
※参考:アトピー新薬/タクロリムス(FK-506について) #


※参考:タンパク質の高次構造のいろいろ;スーパーフォールドの例(水素結合表示,Ligandは球棒モデル)
グロビン(1thbのChain A),アップ-ダウン(256bのChain A),UBαβロール(1ubqユビキチン #2004年ノーベル化学賞
αβサンドイッチ(1apsのModel 1),TIMバレル(7timのChain A),doubly wound(2fox
免疫グロブリンフォールド(2rhe),Trefoil(1i1b),Jellyロール(2stv

◎美宅成樹・榊佳之 編,「バイオインフォマティクス」,p.175,東京化学同人(2003)
◎後藤祐児・高橋聡,『タンパク質フォールディングの昼と夜』,現代化学,2004年9月号,pp.26-33,東京化学同人
◎日本化学会 編,「化学便覧 基礎編 改訂5版」,図16.38,丸善(2004)/CD-ROM


 それでは,マニュアル # を参考にして,いろいろな生体分子を見ることにしよう。

演習1 生体分子中の水素結合の例(太字はPDB ID)  TOP
《 水素結合は原子種と結合距離などから自動描出されるため,不要な結合が表示される場合もある 》
※以下の分子表示はJmol形式に変更しました! → Chimeによる各種分子データ表示
■DNA関連
DNA部分構造例 …初期表示|部分構造(A-T)|部分構造(G-C)
1d66のChain D・E
1n4eのChain A・B(チミンダイマー含む)
■Protein関連
6rsaα-helix部分の例(Tyr25-Ser32)|β-sheet部分の例(Val43-Val47 & Arg85-Ile81)…逆平行
1juyα-helix部分の例(Asp153-Leu172)|β-sheet部分の例(Val4-Gly8 & Tyr261-Ile265)…平行
2fke* SITE選択2fkeのSITE部分2fkeと同配列で全α-helix構造(MOLDAで組立て) SITE選択
参考データ(表1の順にアミノ酸20種をα構造で結合)
■DNA+Protein
1bnz
■RNA(水素結合表示不可)
1g59のChain B(tRNAGlu
バックボーン 二次構造
全選択 タンパク質選択 DNA/RNA選択
リガンド選択 (*印のみ)
空間充填 球棒 同(球大き目) スティック 針金
DNA/RNA(ATGCU
アミノ色 CPK色
Jmol色 Rasmol色
酸性・中性・塩基性区別 極性・非極性区別
疎水性インデックス順 等電点順
コンホメーション選択性(αヘリックスβストランド#
水素結合(太) OFF
 
 
背景・黒 背景・灰 背景・白


※amino表示の凡例
ASP GLU CYS MET LYS ARG SER THR PHE TYR
ASN GLN GLY LEU VAL ILE ALA TRP HIS PRO

= 以下の表示はアミノ酸の親水性・疎水性参照 =
酸性中性芳香族〉・塩基性アミノ酸区別表示の凡例
ASP GLU GLY ALA VAL LEU ILE CYS SER THR
ASN GLN PRO MET
 PHE TYR TRP LYS ARG HIS

極性酸性塩基性〉・非極性(疎水性)アミノ酸区別
SER THR TYR CYS ASN GLN ASP GLU LYS ARG
HIS
 GLY ALA VAL LEU ILE PHE PRO MET TRP

※疎水性インデックス順
ARG LYS ASN ASP GLN GLU HIS PRO TYR TRP
SER THR GLY
 ALA MET CYS PHE LEU VAL ILE

※等電点順
ASP GLU CYS ASN PHE GLN TYR SER MET TRP
VAL GLY LEU
 ALA ILE THR PRO HIS LYS ARG

# アミノ酸のコンホメーション選択性参照。


20種のアミノ酸を表1の順につないだデータ(α-helix構造;演習1の参考データ);左からCPK色,酸性・中性・塩基性区別,疎水性インデックス順
※アミノ酸は上から,ArgLysAspAsnGluGlnHisProTyrTrpSerThrGlyAlaMetCysPheLeuValIle(1文字略号では RKDNEQHPYWSTGAMCFLVI)


PDBデータのリガンド結合部位(コースウェア1) # の参考教材1〜10で表示できる画像例


(1) エストロゲン受容体  TOP
リガンドとその受容体タンパク質(レセプター)の関係は鍵と鍵穴の関係で説明される。以下にその例としてエストロゲン(女性ホルモンの一種)受容体を示す。これは現在研究が進められている環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の問題でもしばしば取り上げられる。


経済産業省化学物質審議会での環境ホルモン研究で用いられたエストロゲン受容体の例
※以下で詳細を参照可能:http://www.ecosci.jp/env/eh_calc05.html
#
 


上記研究で用いられた各エストロゲン受容体の共通SITE部分(右端は4データの重ね合わせ



鍵(リガンド)と鍵穴(受容体タンパク質)の関係の模式図
※南京錠が受容体,鍵が本物のリガンド,が不要な反応を引き起こす偽分子,が必要な反応の邪魔をする偽分子である(色が薄い鍵は存在しないことを示す)。ここでは鍵を開けるということがホルモン作用の発現を示し,開かないのはそれが阻害されたことを示す。
(2) イオンチャネルタンパク質  TOP
2003年のノーベル化学賞は,細胞膜を横切ってなされる物質輸送に関する研究を行った,アメリカのPeter Agre教授(Johns Hopkins大学)とRoderick MacKinnon教授(Rockefeller大学)に贈られた。以下はMacKinnon教授によって発見されたK(カリウム)イオンの通り道となるチャネルタンパク質の構造例である。


イオンチャネルタンパク質の例(PDBデータ1bl8より)
  左:PDBデータ1bl8とそのKイオン近傍アミノ酸 http://www.ecosci.jp/chem10/weekmol038.html #
  右:ノーベル財団による情報 http://www.nobel.se/chemistry/laureates/2003/public.html*
※細胞膜の内部は疎水性,表面は親水性であるため,それに入り込むタンパク質(膜貫通型という;他に視細胞中の視物質ロドプシンの例である1f88など)のアミノ酸配列(以下に1bl8のA〜Dの4本鎖で共通の配列を緑字で表示;表1の1文字略号参照)は,それに対応したものになっている。PDBの“Sequence Details”で取得可能なアミノ酸配列を入れてそのことを確認できるサイトがSOSUI(http://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosui_submit.html*)である。
  ALHWRAAGAATVLLVIVLLAGSYLAVLAERGAPGAQLITYPRALWWSVETATTVGYGDLYPVTLWGRCVAVVVMVAGITSFGLVTAALATWFVGREQ

(3) 緑色蛍光を発するタンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)  TOP


GFPデータ例(1hcjのChain A)
※詳細は以下に記載:http://www.ecosci.jp/chem10/gfp.html
※補足:“色”と共役二重結合 → 電磁波(光)と分子の相互作用
モノはなぜ見える/レチナール,ビタミンA,カロチン #
色をもつ分子(ポリエンとポリアセンを例に) #
染料の種類酸性染料Orange IIの合成
フェノールフタレインのpH変化による構造と色の変化 #アントシアニジン色素のpHによる色の変化 #
七員環を有する有機EL用赤色蛍光色素/非平面ジシアノジアゼピン系色素 #

(4) SARSコロナウイルスのプロテアーゼ  TOP


SARSコロナウイルスのプロテアーゼ結晶構造(PDBデータ1q2wのChain A)
※SARSについては以下を参照:http://www.ecosci.jp/chem11/sars_avd.html

(5) 牛海綿状脳症(BSE)とプリオン  TOP


異常プリオン分子データ例とヒトの正常なプリオン分子例(1qlx
※詳細は以下のページを参照:http://www.ecosci.jp/chem8/prion.html

表2 1970年代以降に出現した主な新興感染症
※以下の文献から主要部分を抜粋
◎竹田美文・岡部信彦,「SARSは何を警告しているのか」*,岩波ブックレット(2003)
病原微生物 種類 疾病
1973 ロタウイルス ウイルス 小児の下痢
1977 エボラウイルス ウイルス エボラ出血熱
1977 Legionella pneumophila 細菌 レジオネラ症(在郷軍人病)
1977 ハンタウイルス ウイルス 腎症候性出血熱
1980 HTLV-1 ウイルス 成人T細胞白血病
1982 病原性大腸菌O157:H7 細菌 出血性大腸炎,溶血性尿毒症症侯群
1983 HIV ウイルス エイズ
1983 Helicobacter pylori 細菌 胃潰瘍
1988 E型肝炎ウイルス ウイルス E型肝炎
1989 C型肝炎ウイルス ウイルス C型肝炎
1992 Vibrio cholerae O139 細菌 コレラ
1996 牛海綿状脳症プリオン プリオン(タンパク質) 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
1997 トリ型インフルエンザウイルス ウイルス インフルエンザ
1998 ニパウイルス ウイルス 脳炎
2002 SARSコロナウイルス ウイルス 肺炎

(6) タンパク質の立体構造を修復するシャペロニン  TOP


シャペロニンの例である1gruのChain O〜U(左)とPDBにおける全体構造表示(右)
※詳細は以下のページを参照:http://www.ecosci.jp/chem10/weekmol045.html #


4. 参考資料  TOP

 講義で用いたWebページはすべていつでも利用できるものである。その他のWeb教材と分子表示ソフトウェアChimeのダウンロード方法,参考文献を以下に列挙する。




《 さいごに 》

●佐倉統,『何人ものレオナルド』(InterCommunication 41号,p.88,NTT出版)

 しかし、エディターシップを発揮する専門家の養成は、現代社会において必要不可欠な作業である。それは、単に知識の生産と流通の仕組みが変わりつつあるからという理由だけに基づくものではない。環境問題や医療問題、教育問題、民族問題、経済問題、生命科学の爆発的な進展など、現実に対処しなければならない問題群の多くが、専門的知識とエディターシップとの両方を必要とする性質のものになっているからだ(ギボンズの「モード2科学論」を参照)。環境問題一つとっても、気侯や地質や生態系に関する理学的な情報から、工学的な対処技術の問題、国際政治としての側面、経済学の知識、さらには倫理学までが関係してくる。レオナルド・ダ・ヴィンチのような人間がいたとしても、対処することはむずかしい。それぞれの分野からレオナルドが登場することが必要だ。何人ものレオナルド─現代社会という、それ自体が化け物のような存在は、知識の生産と流通においても、それだけのヘヴィ・デューティを要求する。
 当然そこには、科学ジャーナリスムの育成や初等中等教育における科学技術位置づけの再検討、学校以外の場での科学技術普及活動の積極的な展開などが関わってくる。これらを明確な展望のもに整理して位置づけなおすには、さら別の作業が必要になるだろう。また他の分野の専門家─それぞれのレオナルド・ダ・ヴィンチ─との密接な連携も不可欠だ。


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