◆ 分子の重ね合わせ(11)/香り分子と高分子の出会い ◆

 発泡スチロール(ポリスチレン)をミカンの皮でこすると溶けてくるのを試したことがあるでしょうか。これは柑橘類の香り成分であるリモネンがポリスチレンを溶かすことができるためです。このことを利用して,発泡スチロールを天然資源から得たリモネンで溶解・減量して回収し,リサイクル利用する試みも実現されています。
 高分子を分解(主鎖が切断したり特性基が変化するなど)せずに溶かしてくれる溶媒を見つけることは,重要な研究テーマですが,このように身近なもので試せる例は少ないでしょう。低分子の溶解でも構造の似たもの同士はよく溶け合いますが,低分子と高分子の組み合わせではどうなのでしょうか。以下のモデルで考えてみましょう。
 ところで,ポリスチレンが合成されたのが1839年頃,成型品の工業化は1935年頃とされます(文献により多少異なります)。自然界でリモネンが造られたのはいつかわかりませんが,この2つの分子の出会いやその実用を考えることは,化学の成果という側面でも不思議なエピソードの一つと言えます。


球棒モデル  空間充填  OFF(スティック)
色分け1(初期化)  色分け2  OFF(CPK)
specular  OFF 光量20%  OFF

★以下では色分け1で各分子を個別(順次)表示・消去可能
全分子消去
ポリスチレン(1)スティック CPK 消去
ポリスチレン(2)スティック CPK 消去
(R)-リモネンスティック CPK 消去
(S)-リモネンスティック CPK 消去

ポリスチレンとリモネンの重ね合わせ


※参考コンテンツ
高分子に関して → 本サイトにおける高分子の表示高分子の複雑な構造:PVCを例に高分子事典
リモネンに関して → 2001年度ノーベル化学賞/不斉触媒合成動く分子事典解説編
 


空間充填  球棒モデル  OFF
specular  OFF
光量20%  OFF
軸表示  OFF

ポリスチレン (1)


空間充填  球棒モデル  OFF
specular  OFF
光量20%  OFF
軸表示  OFF

ポリスチレン (2)


空間充填  球棒モデル  OFF
静電Potential  親油Potential  OFF
specular  OFF
光量20%  OFF
軸表示  OFF

(R)-リモネン〈オレンジ臭〉


空間充填  球棒モデル  OFF
静電Potential  親油Potential  OFF
specular  OFF
光量20%  OFF
軸表示  OFF

(S)-リモネン〈レモン臭〉



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