■分子モデルの色を考える/寄せられたご意見・ご感想から

 お寄せ戴いたメールと電子会議室の書き込みから,「分子の色」に関する記述部分を抜粋して転載します.ご意見を有り難うございました.

   ※文中の“シェーマ”は,パソコン通信での本間のハンドル名です.


【野田 良彦さん(仙台第三高等学校)】 化学をある程度学んだものにとっては同じように見えますが、改めて構造式に書 き直さないとイメージがわかないことも事実です。3,4は構造式のイメージと 重なりますが 1,2,6は実際の分子の形に近いのでしょうが改めて紙に書き 直さないとちょっと厳しいかなといった感じです・簡単ですが。
【本間からの返信】  色よりも,分子モデルの表し方が,球棒・空間充填・球のみ棒なし(5)で受 け取り方が違うという訳ですね。結合の棒(それも,実線だったり点線だったり する…)は,実際の分子には無いわけですが,人間が分子を理解するためには重 要だということを再認識した感じです。  授業や理科関係のクラブで分子モデルを利用されているようでしたら,生徒さ んの反応なども教えて戴ければ幸いです。
【えーちゃん さん(NIFTY SERVE/FKYOIKUS/mes/5)・1】  『生活環境科学の部屋』の分子模型,授業で使わせていただきました.  (今回のはまだ見ていません.見ずにコメントしています.)  原子の色には,小生も以前から気になっております.  小生は,仮説の「もしも原子が見えたなら」に合わせておりますが,たまに教 科書や教材模型によっては違うこともあるので困ることもあります.   水素 白   酸素 赤   炭素 黒  これが,いいですよね.シェーマさんのところもそうなっていますよね.  後でのぞいてみますね.
ごろごろぼっち さん(NIFTY SERVE/FKYOIKUS/mes/5)・1】 > 原子の色には,小生も以前から気になっております. >  水素 白 >  酸素 赤 >  炭素 黒  あまり深く考えたことはなかったのですが(^^;)、この色でやってました。 学校にあった市販の原子モデルもこうだったような気がします。  中学生に反応を考えさせるには色がついていたほうが便利ですよね。
【本間からの返信】 >  水素 白 >  酸素 赤 >  炭素 黒  洋物 (^^; はこの配色が多いですね。丸善HGS分子模型(昔の講義で多用し ました)もこの系統です。ごろごろぼっち さんがお使いの「市販の原子モデル」 もこれでしょうか。今日,インターネットで捜し物をしていたら,偶然HGS模 型のページを見つけたのでリンクを追加しておきました。   http://www.sphere.ad.jp/hgs/  それから,インターネット版【理科の部屋】からリンクを張ってある,「いま すぐできるわくわく化学実験143」の演示実験128『分子模型を作ろう』,   http://www3.justnet.ne.jp/~konan/waku1/a-128.htm にも,「分子の色」について少し書いてありました。 >1.分子の色 > 実際には原子に色はないが、イメージや原子を見分けるために色を塗る。 > ・酸素(O)・・・・赤 火の色 > ・塩素(Cl)・・・・黄緑 塩素の色 > ・水素(H)・・・・白 水の色 > ・フッ素(F)・・・緑 > ・炭素(C)・・・・黒 炭の色 > ・ヘリウム(He)紫 放電管中の色 > ・窒素(N)・・・・青 空の色(大気の80%) > ・ネオン(Ne)・・オレンジ 〃  えーちゃん さんの実践を聞いた時は,昔の科学雑誌(「Newton」だったかな?  転勤のどさくさで無くしてしまった…)に御茶の水大学の細矢先生が,硬貨を使 って分子とその反応について説明する記事を書いていらっしゃったことを思い出 していました。1円が水素,5円が酸素,10円が炭素でした。  「分子の色」について,生徒さんの反応を聞かせていただけたら幸いです。
【えーちゃん さん(NIFTY SERVE/FKYOIKUS/mes/5)・2】 >>  水素 白 >>  酸素 赤 >>  炭素 黒  小生,この色がしっかりしみこんでおります.  シェーマさんの図でいうと,6番ですね.  水素が水色だったりする模型がありますが,水分子が紅白でないとピンとこな いです.  また,モデルそのものも 6番のが気に入っています.長い棒と小さなサイコ ロみたいのを使うのは,すき間が大きくて実態?にあわないような……  やはり,仮説実験授業の「もしも原子が見えたなら」を新任以来ずーーとやっ ていますので,分子模型はそれにあわせて使っています. >  http://www.sphere.ad.jp/hgs/  みました.全部英語なので…… > 「分子の色」について,生徒さんの反応を聞かせていただけたら幸いです。  はい,今度生徒に見せて,聞いてみます.  生徒も小生と同じ色塗りをして勉強しておりますので,水は紅白でちゃんと頭 にしみこんでいるはず……
【本間からの返信】 >>>  水素 白 >>>  酸素 赤 >>>  炭素 黒 > 小生,この色がしっかりしみこんでおります. > シェーマさんの図でいうと,6番ですね. 今回の分子見本は,アトキンスの「分子と人間」に出ている分子で,含んでいる 原子種の多いものから選びました。それが6番です。  パソコン画面の背景が黒か白ということで,“炭素 黒”,“水素 白”が崩 れた面もあるかも知れませんね。 > 水素が水色だったりする模型がありますが,水分子が紅白でないとピンとこな >いです. HGS分子模型も水素が水色ですね。 >>  http://www.sphere.ad.jp/hgs/ > みました.全部英語なので…… HGS分子模型(HINOMOTO PLASTICS CO., LTD.;「化学の広場」でHGSの語 源が話題になったとき,社名を紹介してくださった方がいらっしゃいました)も 国際的ということでしょうか。日本語の解説も欲しいところです。 > また,モデルそのものも 6番のが気に入っています.長い棒と小さなサイコ >ロみたいのを使うのは,すき間が大きくて実態?にあわないような…… この辺はページ宛てに別なご意見も戴いていますので,まとめて掲載して読んで いただきたいと思っています。 > やはり,仮説実験授業の「もしも原子が見えたなら」を新任以来ずーーとやっ >ていますので,分子模型はそれにあわせて使っています. またいろいろご教示下さい。  「仮説実験授業」は詳しくないのですが,ページのリンク集には以下を紹介さ せてもらっています。   http://hcs.fukuoka-edu.ac.jp/gakunai/rika/tanakahi/kasetu/index.html > 生徒も小生と同じ色塗りをして勉強しておりますので,水は紅白でちゃんと頭 >にしみこんでいるはず…… 理科資料集なんかでも,同じ本なのに頁が違うと同じ原子が違う色になっていた りすることがあります。そんな場合も含めて,特訓した (^^; 生徒さんの印象を 聞いてみてください。よろしくお願いします。
石川顯法さん(NIFTY SERVE/FCHEMT/mes/2)・1】

 シェーマさんは#01773で「化学がご専門の方,昔習った化学が苦手だった方,化学 を習う前の子どもたち(模様やかたちの認識の問題とお考え下さい),…。いろいろ な方の自由な感想をお聞かせいただければ幸いです。」とおっしゃいましたが、上の 「いろいろな方」のうち化学の教師や化学の専門家はかえって答えにくいのではと思 いました。というのは、その人達はあれがそれぞれ違うように見えながら同じ分子だ と承知していますよね。それが邪魔するんじゃないかと..。


【桑嶋 幹さん(日本分光;NIFTY SERVE/FCHEMT/mes/2)・1】

私もシェーマさんのホームページの分子モデルのところを拝見しました。 私も、どうも形状で認識してしまうみたいです。


【本間からの返信】  石川さんの(#1793), >「いろいろな方」のうち化学の教師や化学の専門家はかえって答えにくいのではと思 >いました。というのは、その人達はあれがそれぞれ違うように見えながら同じ分子だ >と承知していますよね。それが邪魔するんじゃないかと..。 と,桑嶋さんの(#1794), >私もシェーマさんのホームページの分子モデルのところを拝見しました。 >私も、どうも形状で認識してしまうみたいです。 形を見ていても,色がついているとどこかで翻訳しているはずですよね(例えば 同じモデルの色違いの1と2を見たときや,自分が普段使っているモデルの色使 いとの比較)? その“翻訳”があるのか無いのか,あるとしたら,頭の中でど のような過程で起こっているのか,少し考えてみると面白いのではないかと思っ ています。あるいはそう試みることで,自分が形のどの部分に注目しているのか がわかるかも知れません(自分自身の分子の見方の“癖”)。  石川さんのおっしゃる“邪魔”の部分を,詳しくお聞きしたい訳で,それこそ 「分子モデル」に色がついていることの問題点だと思います。  少し脇道ですが,形に関しては,ベンゼン環の正六角形構造が確定するまでの 話はよく化学史などで取り上げられるし,「亀の甲」などと呼ばれて,独特の存 在になっていますね。電子会議室でも,わざわざテキストで「亀の甲」を書いて しまいます (^^)。       /\    / ̄ ̄\       |○|   < ○  >       \/    \__/  あるいは,化学者なら,      O−H  H−O    O    H2O  OH2      |      |   / \      H      H  H   H はすべて同じと見ますが,そこでも“翻訳”がなされているし,書き方に各自の 好き嫌いもあると思います。“分子”を知らない小さな子どもたちの受け取り方 はどうなのでしょう(それでもテレビなどで「分子モデル」を見ているはず;何 だと思って見ているのでしょうか…)。化学が苦手な人は,見ただけで不快感を 持つかも知れません (^^;;。  今回のアンケートは,物理学者のファインマンが簡単なことでも,自分の脳を 実験道具にして,いろいろ思考過程を試していたのに影響されたのかも知れませ ん(例えば,頭の中で数を数えるにも“耳”派と“目”派がいる!)。  通信やインターネットが普及したので,いろいろな方から「化学」に対する認 識を聞いてみたい,という思いがあります。そうすることで,何が見えてくるの か,楽しみです。  すでにいくつかコメントを戴いたので,本題に絡む部分だけ抜き出してページ 化しています。まだ数は少ないですが,なかなか面白いと思っています。    http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/topic/mol_ans.html  他の方のご意見を読んで戴いて,またフィードバックしてもらえれば幸いです。
【桑嶋 幹さん・2(上記に対するの返信)】

そうなんですよね。常識にとらわれると、私みたいな感想になっちゃうのです。 あの絵を幼稚園くらいの子供に見せると、ひとつずつ「○○に見える」という 答えが返ってくると思います。もともと人間は形とか色とかに対して敏感なん だと思います。そういう観点から、もう一度見て考えていました。先日、見た ときには気がつかなかった、とても、あたり前のことに気がつきました(^_^;) そしたら、やはり、私はその色と形から、その分子が何であるかを見ていまし た。色が同じものは同じ原子であるという約束をあたりまえのものとして見て いました。だから、あとは形を見て、これが何であるかを判断できたのです。 もちろん形から判断できたのは、その分子に関する知識が、頭にインプットさ れていたからです。こういったことが「邪魔」なのかと思いました。 #子供なら亀さんとか言うでしょう。 「色が同じものは同じ原子」「色が違うものは違う原子」と認識できるところ から始めて考えると、いろいろ思うところがでてきます。 「色がついていなくて、大きさが同じものは、同じ原子と判断できない」 「色がついていなくても、大きさが異なるものは、違う原子と判断できる」 「原子によって、どのような色が適切なのかは、高尚すぎて、私には判断 しかねる(笑)」 とかです。化学の知識を、どこかに飛ばしちゃうと      O−H  H−O    O          |      |   / \      H      H  H   H ぶーめらん やじろべい なんて感じですが、ここから始めると、本当に色々なことを考えることが できますね。先入観と常識は、創造の敵であるとは、有名な言葉ですね。


【本間からの返信】 >そしたら、やはり、私はその色と形から、その分子が何であるかを見ていまし >た。色が同じものは同じ原子であるという約束をあたりまえのものとして見て >いました。だから、あとは形を見て、これが何であるかを判断できたのです。 >もちろん形から判断できたのは、その分子に関する知識が、頭にインプットさ >れていたからです。こういったことが「邪魔」なのかと思いました。 本当に化学屋さんの脳は,分子に関して「特化」(研究分野でその「特化」され 方は異なる?)されていますからね (^^;。前に書いた, >   http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/honma97/honma97_2.html にも, |  西本・今村が,『化学者が分子を考える場合には,まず(1)分子の形(分 | 子模型で表現する三次元構造)を考え,(2)分子の性質(極性や磁気的性 | 質,色など)と(3)分子の反応性を推定する』[3]と述べており,アトキン | スが Pacifichem '95 の化学教育部門の講演で示した11件の概要の5番目 | に『分子はそれぞれ定まった形をしている』[4]と上げたことからも,分子 | の形を正確に表すことは極めて重要である。   3) 西本吉助・今村詮 編,「分子設計のための量子化学」,講談社サイエ    ンティフィク(1989)   4) P.W.アトキンス・細矢治夫,『これからの化学 −何をどう教えるべ    きか−』,現代化学,1996(3),p.16,東京化学同人 という一文を載せました。 >#子供なら亀さんとか言うでしょう。 に関連して,「環境ホルモン」についてのページ,   『環境ホルモン関連分子(1)』 を作っていたときは,いくつか蝙蝠みたいな分子があるな,と感じていました。 余談ですが,「環境ホルモン」と疑われている化合物の一覧が,   http://www.nihs.go.jp/hse/environ/edsubs/substancesnew.html にありました。  本題に戻って, >とかです。化学の知識を、どこかに飛ばしちゃうと > >     O−H  H−O    O     >     |      |   / \ >     H      H  H   H > > ぶーめらん やじろべい > >なんて感じですが、ここから始めると、本当に色々なことを考えることが これなんかも,本などによって,   H2O    やじろべい形,ベント形,“へ”の字形*,“く”の字形*   NH3    三角錐形,三脚形*   CH4(sp3) 正四面体形,テトラポッド形*(新潟の海岸に多い ^^;)   sp2     ベンツ形*(車のマークから),三矢サイダー形*,“Y”字形*   sp      直線形,串団子形*                <* は私が使っている表現> などいろいろあって,これも生徒にとって混乱のもとかも知れません。“へ”の 字,“く”の字,“Y”字は字の歪みが気になるし,「三角錐形」,「正四面体 形」は,そう見るためには補助線が必要で,厄介ですね。  また, ●佐伯胖,「新・コンピュータと教育」,岩波新書(1997) の,コンピュータのインターフェースについて書いてある,p.65『「機械音痴」 の思考過程』や,p.68『課題分割のステトラジー』の「コンピュータ」を「分子」 に置き換えると,“教える”ことの難しさを感じてしまいます。p.43『アフォー ダンス特性の活用』,p.98『「頭に入る」略図』,p.112『変な文章題をつくる 子ども』,p.170『科学者たちとの対話』,p.176『「疑問に思う」ということ』 あたりも関連するでしょうか。  まず,「分子」について『「自分」との対話』(p.189)をしてみよう,とい うのがアンケートの目的でもあります。   [注]“アフォーダンス”は最近の認知科学の重要なキーワード     ・佐々木正人,「知性はどこに生まれるか         −ダーウィンとアフォーダンス−」,講談社現代新書(1996)     ・野口靖さんのアフォーダンス講座       http://vcd.musabi.ac.jp/nog/t/affo3a.htm >できますね。先入観と常識は、創造の敵であるとは、有名な言葉ですね。 他人との齟齬の原因でもありますね (^^)。
【本間の追記】 自己レスです。  ここ数年,短大の講義で「塗り絵でまなぶ分子の世界」というのをやっている のですが,少しずつホームページにしていきたいと思っています。  第1作は,「トリハロメタンとMX」。   http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/nurie/thm.html  分子式が示されていれば,球棒モデルの形だけで各原子が何かわかるという不 思議(でもないか ^^;)。一種のパズルですね。  無着色の空白モデルを見ただけで,各自が慣れ親しんでいる分子モデルの色に 染まって見えればかなりなものです (^^;;。  分子の詳細などについて,詳しい解説のあるページにリンクさせることができ るのが魅力ですね。
【本間の追記】  「分子の色」に関する追加情報です。  いろいろなタイプの分子データを表示できるソフトウェア RasMol をご存じの 方も多いと思いますが,そのマニュアルを見ていたら,よく用いられている “CPK”についての説明がありましたので,引用します。 ======================== RasMol V2.6 Molecular Visualisation Program Roger Sayle Glaxo Wellcome Research and Development Stevenage, Hertfordshire, U.K. ------------------------ Colour Schemes The RasMol colour command allows different objects (such as atoms, bonds and ribbon segments) to be given a specified colour. Typically this colour is either a RasMol predefined colour name or an RGB triple. Additionally RasMol also supports cpk, amino, chain, group, shapely, structure, temperature, charge and user colour schemes for atoms, a hbond type colour scheme for hydrogen bonds and electrostatic potential colour scheme for dot surfaces. The currently predefined colour names are listed below with their corresponding RGB triplet. blue [0,0,256] black [0,0,0] cyan [0,255,255] green [0,255,0] greenblue [46,139,87] magenta [255,0,255] orange [255,165,0] purple [160,32,240] red [255,0,0] redorange [255,69,0] violet [238,130,238] white [255,255,255] yellow [255,255,0] ------------------------ CPK Colours The RasMol cpk colour scheme is based upon the colours of the popular plastic spacefilling models which were developed by Corey, Pauling and later improved by Kultun. This colour scheme colour `atom' objects by the atom (element) type. This is the scheme conventionally used by chemists. The assignment of element type to colours is given below. Carbon light grey [200,200,200] Oxygen red [240,0,0] Hydrogen white [255,255,255] Nitrogen light blue [143,143,255] Sulphur yellow [255,200,50] Phosphorous orange [255,165,0] Chlorine green [0,255,0] Bromine, Zinc brown [165,42,42] Sodium blue [0,0,255] Iron purple [160,32,240] Calcium, Metals dark grey [128,128,144] unknown deep pink [255,20,147] ========================  “CPK”は“Corey, Pauling and later improved by Kultun”だった訳です。  上記の [] 内の数字は,ディスプレイに表示するときのRGBの輝度です ([255,255,255] が白,[0,0,0] が黒)。以下の【分子の色】のページ(回答編 ;アンケートにお答えの上ご覧下さい ^^ )では,文字を該当の色で表示してい ます。   質問編 http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/topic/mol_color.html   回答編 http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/topic/mol_ans.html  RasMol は,以下でダウンロードできます(私のページのリンク集にも載せ忘 れていた ^^;)。   Glaxo    http://www.glaxowellcome.co.uk/home.html   Chemistry-related software (RasMol ; free of charge)    http://www.glaxowellcome.co.uk/software/   RasMol image gallery    http://www.glaxowellcome.co.uk/software/gallery/index.html  国内にもダウンできるミラーがあるようですが,プロバイダからだと大学関係 には繋がるのが遅いですね。 # RasMol は,旧 FCHEM のインターネットの話題の会議室で,ChemscapeChime # の話題が出たときに,色使いが同じだと紹介して下さった方がありました。
RasMol は“CPK”形式以外にも色やオプションを様々に指定可能(添付データによる例)

【田中 由香さん(中学校・理科教員)】

回答>全部、同じ分子には、見えません。     とくに、1と2は色以外すべて同じなだけに、違う分子に見えます。     他の物は、形が(分子のモデル自体が)違うので、     注意して見比べて同じであることに気づきます。     中学生の参考書で(私がよく利用している)     「くわしい理科 」 文英堂  というのがあります。     これも、分子に色が付いています。     O=水色 H=ピンク Ne=紫 N=橙 C=灰色 Cu=黄色      S=黄緑     となっていますが、他のページではナトリウムがピンクだったり、     塩素が黄色だったりと、特に一貫しているわけでは     なさそうです。        よく生徒から、「原子に色はあるんですか?」という     質問を受けるんですが、そのへんにも影響しそうですね。


【本間からの返信】 >回答>全部、同じ分子には、見えません。 >    とくに、1と2は色以外すべて同じなだけに、違う分子に見えます。 >    他の物は、形が(分子のモデル自体が)違うので、 >    注意して見比べて同じであることに気づきます。  「形」と「色」,それぞれがそれぞれに自己主張している訳ですね。“注意” は特にどの辺にいってますでしょうか。 >    O=水色 H=ピンク Ne=紫 N=橙 C=灰色 Cu=黄色  >    S=黄緑 >    となっていますが、他のページではナトリウムがピンクだったり、 >    塩素が黄色だったりと、特に一貫しているわけでは >    なさそうです。  この辺もすでにアンケート集計編(以下の URL)に少し書きましたが,困った問 題です。原子・分子・イオンがすでにわかっている立場と,初めて習う立場では, 注目しているところが違っていて,わかりやすくしようと思って図にすることが, かえって混乱の原因になる可能性もあるかも知れません。    http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/topic/mol_ans.html >    よく生徒から、「原子に色はあるんですか?」という >    質問を受けるんですが、そのへんにも影響しそうですね。 この質問もよくあるようです。目に見えない原子・分子を可視化すること,さら に色の無い世界(これも説明が難しい)なのに色を使って説明する…。  別な見方では,「物質をどんどん小さく刻んでいくと,最後は分子になります」  → 物質には色がありますから,小さくしても色は無くならないような気がする 面もあるわけですね (^^;。  できればその質問を受けたときのお答えも教えて戴けたら,と思います。
【松井さん(建設コンサルタント/水質保全や自然環境保全及び創造)】

分子モデルの色についてですが、全く個人的な感性で感想を述べてみます。 上段のように骨格をなす炭素が緑色や青色では非常に違和感があります。 下段のように、灰色辺りが順当でしょう。下段右のように黒色となると重くて、 もっと原子量 が大きい元素をイメージしてしまいます。(炭や墨を思えば黒でもいいのかもし れませんが) また、水素は白や白っぽい灰色で、あまり性格が強くない、軽い感じが適当かと 思います。 酸素は赤色より青色がいいですね。むしろ窒素の方が赤色の気がします。硫黄 は、単体の色か ら考えて、黄色が当然と思います。 塩素の濃い緑色もなんとなくイメージが出ています。それに対するフッ素が薄緑 色というのも うなずけます。でも、ヨウ素はヨード色にしたいですし、臭素はイメージが湧か ないので、同 族に同系統の色というわけでもないようですね。


【本間からの返信】 > 上段のように骨格をなす炭素が緑色や青色では非常に違和感があります。 > > 下段のように、灰色辺りが順当でしょう。下段右のように黒色となると重くて、 > もっと原子量 > が大きい元素をイメージしてしまいます。(炭や墨を思えば黒でもいいのかもし > れませんが) 建設関係のお仕事がら,“重い物質”を扱うことが多く,炭素を含んだ有機化 合物などは軽いというイメージをお持ちなのかも知れませんね (^^)。  建築・土木の分野でもプラスチック等の軽い素材(炭素化合物)を用いるこ とが増えていると思いますが,機会がありましたらその辺の時代の流れについ ても,ご存じに範囲で教えていただければ幸いです。 > 酸素は赤色より青色がいいですね。むしろ窒素の方が赤色の気がします。硫黄 “酸素は赤”という意見の方が圧倒的ですが,青がいいわけですね。銅が錆さ びると青くなりますが(鉄錆びは赤い)…。  窒素が赤というのも,できれば背景を知りたいところです。水や土壌から窒 素系の化合物(窒素酸化物やシアン化合物など)が出てくると問題になる(赤 信号)ためかな,と勝手に想像したりしています。多分はずれでしょうが (^^; 。  以下,詳しいコメントを楽しく読ませていただきました。御礼のメールが遅 くなったことをお詫びいたします。
【野田 哲さん(大学院生・塾講師/化学専攻)】

どうも、野田と申します。大学院で化学を専攻しています。 見た目、内容ともに素晴らしいですね。楽しく拝見させていただきました。 「分子モデルの色を考える」とのことですが、私はバイトで塾講師おり、 その経験から一言意見を述べさせていただきます。 まず、多くのいわゆる文系と呼ばれる方面の勉強にいそしんだ者は、 分子模型を見た瞬間に判断することを止めるものが(僕の経験上)多いです。 本当に悲しいことですが。したがって「色によって違う分子に見えるか?」という 質問自体が意味をなさないと思います。 また、高校化学の教科書および参考書では、分子構造がはっきり見える形で書く 事が多いようです。したがって高校化学だけを学んだ者は、質問にある図1、図2 の形は見慣れないので色の違いで混乱こともあると思います。 大学以上で化学を学んだ者がこの程度の違いで混乱したら問題でしょう。(^^) #これ以上複雑な分子になると、自信は無いですが。(^^) モノクロ表示すると、原子の区別がつきにくくなり、嫌な感じです。 #何か感想と言われると・・・(^^) 僕の考える見やすい分子模型表示は、 1 分子模型を表示する場合には図4の形式で表示する 2 原子の色は、よく見かける色かつ、一目で区別がつく色にする です。


【本間からの返信】  塾では分子についてどのような教え方をされているのかについても教えていた だければ幸いです。 > まず、多くのいわゆる文系と呼ばれる方面の勉強にいそしんだ者は、 > 分子模型を見た瞬間に判断することを止めるものが(僕の経験上)多いです。 大学の専門でも文系・理系という分類も難しくなっている時代だと思うのですが, 受験という面では二分法はまだまだ根強いでしょうか。私のページを見て分子の 好きな文系人間も増えて欲しいところです (^^;。  例えば天動説から地動説になった時代のようにように,今なら分子という存在 を子供でもそれとなく知っているのですから,知られていなかった時代の大人に 比べれば大変な天才です。「原子は+を帯びた粒子とマイナスを帯びた粒子から できといる(中性子もありますが)」とか,「H2Oまでなら知っている」など, 完全な拒否権を示す人も少ないと思うので,もう少し簡単な分子で試してみても らえるようにすればよかったかも知れませんね。 # 塾の理系の生徒さんには簡単な分子が問題の分子クイズにもチャレンジしてい # ただきたいところです (^^)。 #   
http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/moldic/quiz1.html > また、高校化学の教科書および参考書では、分子構造がはっきり見える形で書く > 事が多いようです。したがって高校化学だけを学んだ者は、質問にある図1、図2 > の形は見慣れないので色の違いで混乱こともあると思います。 中学でも分子モデルが出てきますね。分子を視覚的に示しても,そのように表示 する意味を習っていないので,出てきた分子以外はお手上げになるのでしょう (名前を知らなくても多少性質の見当がつけられるようになると面白くなるので しょうけれど)。 > 大学以上で化学を学んだ者がこの程度の違いで混乱したら問題でしょう。(^^) > #これ以上複雑な分子になると、自信は無いですが。(^^) 化学を学んだら,“混乱”しなくなる理由を知りたいというのが本音です。 > 僕の考える見やすい分子模型表示は、 > 1 分子模型を表示する場合には図4の形式で表示する > 2 原子の色は、よく見かける色かつ、一目で区別がつく色にする > です。 図4の球棒モデルは実際の分子には存在しない結合の棒が示してあるので,化学 者にはわかりやすいですね。
【野田 哲さん・2(上記に対するの返信)】

> > 大学以上で化学を学んだ者がこの程度の違いで混乱したら問題でしょう。(^^) > > #これ以上複雑な分子になると、自信は無いですが。(^^) > > 化学を学んだら,“混乱”しなくなる理由を知りたいというのが本音です。 これは、単に慣れだと思っています。 #実験だ講義だで、週に5日は有機分子を目にしているんですもの。 #特に、週3回の有機実験は辛かった。 > # 塾の理系の生徒さんには簡単な分子が問題の分子クイズにもチャレンジしてい > # ただきたいところです (^^)。 うっ、スミマセン、分からないです・・・。講師のくせに情けないですが。(;;) 大学もとっくに卒業したというのに、こんな所で有機化学を手抜きした 付けがまわってくるとは。うぅ〜ん、悔しい・・・。


【本間からの再返信】 > これは、単に慣れだと思っています。 > #実験だ講義だで、週に5日は有機分子を目にしているんですもの。 > #特に、週3回の有機実験は辛かった。 少ししつこいですが (^^;,その慣れる前から慣れてしまう過程で,記憶にある エピソードなどで覚えていることなどありましたら,お時間のあるときにご紹介 くだされば幸いです。  こだわるのは,アンケート回答編に以前書かせていただいた, |  今回のアンケートは,物理学者のファインマンが簡単なことでも,自分の脳を | 実験道具にして,いろいろ思考過程を試していたのに影響されたのかも知れませ | ん(例えば,頭の中で数を数えるにも“耳”派と“目”派がいる!)。 のファインマンの実験にかぶれてしまったところがあるのかもしれません。例え ば,「赤」という色も一人ずつ認識の仕方が本当は微妙に異なるのでしょうし, 分子のような複雑なものになればもっと個人差は大きいはずだと思うからです。 > > # 塾の理系の生徒さんには簡単な分子が問題の分子クイズにもチャレンジしてい > > # ただきたいところです (^^)。 > うっ、スミマセン、分からないです・・・。講師のくせに情けないですが。(;;) > 大学もとっくに卒業したというのに、こんな所で有機化学を手抜きした > 付けがまわってくるとは。うぅ〜ん、悔しい・・・。 たぶん,直感で解こうとされたのかも知れませんが,パズルだと思って再チャレ ンジしてくだされば幸甚です。
【野田 哲さん・3(上記に対するの返信)】

> 少ししつこいですが (^^;,その慣れる前から慣れてしまう過程で,記憶にある > エピソードなどで覚えていることなどありましたら,お時間のあるときにご紹介 > くだされば幸いです。 うーん、今振り返ってみると僕は細かいパーツごとをパターン化して覚えていた ように思えます。 中学生の時に「炭素原子には手が4本あって」ということは知っていたので、 #どっからそんな知識を仕入れたかは思い出せませんでした。うーん、謎だ。(^^; 中学から「炭素原子を書いて、手を4本使うように他の原子を配置して・・・」 なんて事をしていたように思えます。 その結果、水分子からOH基の形を覚えて、二酸化炭素からCO二重結合 があることを覚えて、という具合にパーツを覚えていたように思えます。 後はそのパーツの組み合わせ方を、やはりパターンで覚えていきました。 ですから、大きい分子になるほど、パーツに分けられず混乱します。未だに。(^^; > たぶん,直感で解こうとされたのかも知れませんが,パズルだと思って再チャレ > ンジしてくだされば幸甚です。 > > # クイズについてのやり取りの方は,回答編には載せませんので,是非掲示板へ > # ! (^^;。 分かりました。クイズにチャレンジさせて頂きます。(^^;;; ちなみに、クイズについてのやり取りを解答編に載せていただいても構いません。 (^^) 僕には全然問題ないです。


【本間からの返信】 野田さん,素早い応答とクイズへの挑戦,本当に有り難うございます m(_ _)m。 > > 少ししつこいですが (^^;,その慣れる前から慣れてしまう過程で,記憶にある > > エピソードなどで覚えていることなどありましたら,お時間のあるときにご紹介 > > くだされば幸いです。 > うーん、今振り返ってみると僕は細かいパーツごとをパターン化して覚えていた > ように思えます。 > > 中学生の時に「炭素原子には手が4本あって」ということは知っていたので、 > #どっからそんな知識を仕入れたかは思い出せませんでした。うーん、謎だ。(^^; > 中学から「炭素原子を書いて、手を4本使うように他の原子を配置して・・・」 > なんて事をしていたように思えます。 > > その結果、水分子からOH基の形を覚えて、二酸化炭素からCO二重結合 > があることを覚えて、という具合にパーツを覚えていたように思えます。 > 後はそのパーツの組み合わせ方を、やはりパターンで覚えていきました。 > ですから、大きい分子になるほど、パーツに分けられず混乱します。未だに。(^^; 中学の時のことを覚えていらっしゃるなんてすごいですね。大変参考になりまし た。特に“水分子からOH基の形を覚えて”というところは,水分子の役割の大き さを感じます。  私の方は基礎的な事項はいつ何を誰に習ったか忘れていていて,完全なる忘恩 の徒です。パソコンに関することでも,なんで化学専攻のはずなのにこんなこと を知っているのだろうと思うときがあったりします。いろいろな方にお世話にな ったことだけは確かですけれど。 > 分かりました。クイズにチャレンジさせて頂きます。(^^;;; > ちなみに、クイズについてのやり取りを解答編に載せていただいても構いません。 > (^^) > 僕には全然問題ないです。  クイズの回答書きこみと転載をお認め下さったことに対して感謝いたします。   【注】野田さんの分子クイズへの回答は,専用掲示板の発言番号85です。
【T.I.さん(会社員)】

化学に関して、まったくの素人としては 1,2は、分子の構造が一番わかりやすく、興味をもてます。原子 名がほしい。 3,4は、構造としてはわかりやすいと思います。見るものの興味 としては少し落ちると思う。 6は、立体構造が少々わかりにくいかと思います。見るものの興味 はさらに落ちると思う。 5は、興味はもてるけれども、素人としては理解しにくいと思いま す。 できることならば原子の色は統一してほしいと思う。 モノクロよりもカラーのほうが見るものの興味を、より引き出しや すいと思います。


【本間からの返信】  T.I.さん,メールを有り難うございました。 > 化学に関して、まったくの素人としては > 1,2は、分子の構造が一番わかりやすく、興味をもてます。原子 > 名がほしい。 専門外の方から分子に興味をもっていただけるのが何よりです (^^)。  なお,問題の化合物については【ヒント:あま〜い!/解答編作成中】と書い たきりで解答編も作っていません。  構成原子数から,先日実施した分子クイズ,   
http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/moldic/quiz1.html の解答例,   http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/moldic/quiz1a.html を参考に調べていただく手もあるのですが (^^;。また,1999年に発刊した「パ ソコンで見る動く分子事典」(本間・川端 共著,講談社ブルーバックス)p.161 に当該分子が甘さの秘密とともに記載してありますので,書店で見かけた際に立 ち読みしていただければ幸甚です m(_ _;)m。 > できることならば原子の色は統一してほしいと思う。 これも簡単な構成元素が限られた化合物だけならいいのですが(それさえ統一さ れていない状況です),元素が約100種類あることと研究者によって興味の対象 の元素の種類が異なること(関心のある元素を目立つ色にしたい,など),そし て人間が認識しやすい色の種類(普段使っている“色名”から考えて)が限られ ていることを考えると難しいのでしょうね。でもせめて高校くらいまでに使うも のについては統一して欲しいと私も思っています。  なお,上の方でCPK Coloursについて書いた原子色ですが,問題の4の “ChemscapeChime”(MDL社)でも使われていて,これについては以下のページ でも原子色の表を示してあります。   http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/manual/cc_m02w.html  以上,御礼と補足説明で失礼致します。
【河合 英敏さん(北海道大学大学院理学研究科有機反応論研究室)】

 それから、話は変わりますが、ページ中で原子の色についての言及があったと思い ますが、僕は主にモデリングソフトとしてChem3Dを利用しています。なので、その デフォルトの原子カラーが一般的なのかなとイメージしてました。 H 水色 C 黒(灰) O 赤 N 青 S 黄 Cl 黄緑 Br 茶  水素が違いますが、基本的には他のソフトと似てると思います。 表記の方も、僕は基本的にはCylindrical Bonds, Shadowed Colorを用い、Space Filling Modelは必要に応じて使います。  本間さんがWebで用いているHyperChemでの配色は、僕から見ると、(照りがあるの も含め)ちょっとどぎついかなと思いました。あれくらい色を濃くしないとわかりづ らいものなのでしょうか? もしかしてWebで用いる際での色数の制限などがあった りするのでしょうか。  僕としては中間色的なカラーリングが見た目にも美しいと感じていますが、各自の 美意識の違いかもしれません。  また、一部の表記、たとえば、界面活性剤の仕組みなどで用いられているワイヤー フレーム的な表記は、やはり分かりづらいのではないかと思います。それらの元デー タは、他の先生たちからの引用・提供だったりして変更が難しい、などの問題点が存 在したりするのでしょうか。  せっかくMDL形式の分子リストを数多く掲載しているので、できるならその表記法 (Ball&Stick or Space Filling)で統一していただけると、十分に美しく、全体的な まとまりも出ると思います。


【本間からの返信】  河合さんには分子データについていろいろ情報を提供していただいた上に, 「分子の色」についてもコメントしてもらい,感謝しております m(_ _)m。 >  それから、話は変わりますが、ページ中で原子の色についての言及があったと思い > ますが、僕は主にモデリングソフトとしてChem3Dを利用しています。なので、その > デフォルトの原子カラーが一般的なのかなとイメージしてました。 > > H 水色 > C 黒(灰) > O 赤 > N 青 > S 黄 > Cl 黄緑 > Br 茶 > >  水素が違いますが、基本的には他のソフトと似てると思います。 > 表記の方も、僕は基本的にはCylindrical Bonds, Shadowed Colorを用い、Space > Filling Modelは必要に応じて使います。 > >  本間さんがWebで用いているHyperChemでの配色は、僕から見ると、(照りがあるの > も含め)ちょっとどぎついかなと思いました。あれくらい色を濃くしないとわかりづ > らいものなのでしょうか? もしかしてWebで用いる際での色数の制限などがあった > りするのでしょうか。 >  僕としては中間色的なカラーリングが見た目にも美しいと感じていますが、各自の > 美意識の違いかもしれません。  私の個人的分子ソフトの利用歴では,最初にHyperChemで(1994年頃だったか な;バージョンアップする予算もありません ^^; ),次がChem3D(1998年;
学 生の演習用として),そして昨年(1999年)にはAlchemy 2000というのを購入し て使い分けたり比較したりしています。ChemscapeChimeに手を染めたのは1996年 です。公開ページの分子の画像はほぼこの歴史に沿っているという事情がありま す。で,ページ全体として見たときに統一感に欠ける印象が拭えずにいます。 # どうも分子計算ソフトの評論家をやっているみたいですが,今後化学教育の分 # 野でも多用されていくであろうことを予測すると,これも大事な情報かと思っ # ています。  HyperChemは確かに少しメタリックな印象で色がきついですね(今のバージョ ンではどうなっているかはわかりません)。仰るように好みもあるでしょうけれ ど。  少し細かい話になりますが,原子球を立体的に見せるのに,同心円にして内側 から薄い色で着色する手法があってHyperChemとChem3D(下図左),そして昔使 ったN88BASIC版の「高分子も組み立て」はこの手法です。そのグラデーションの 色使いでかなり異なった印象になります。  ChemscapeChimeとAlchemy(下図右;Chem3Dと同じくいろいろ表示方法を変更 できます)の場合はズームアップして見るとよくわかるのですが,球の中心でな く右上を輝点の中心にしてやはり同心円的に描いているのですが,グラデーショ ンが小刻みなのでかなりリアルな球に見えます。パソコンの表示色数が低いと粗 くなりますが。そう言えば,質問で使った分子の画像を作ったときの減色ソフト の関係でHyperChem版のは色が粗くなっているという点もあるかも知れません。

左はChem3D,右はAlchemyによる空間充填モデル
 上の2つのモデルは,河合さんのご指摘どおり水素の水色を除いてChemscapeChime と同じCPK Coloursですね。ただし,2つを見比べても特に炭素の黒(灰)の濃 淡の違いだけでもかなり印象が異なります。厳密にはコンピュータのカラー指定 まで決めて()やるといいのでしょうが,今となっては統一は不可能でしょう ね。  ChemscapeChimeの“元素の表示色の例”を見ると,Al,Mn,Ca,Cr,Agが同じ 色,P,Fe,Baが同じ色なのにヨウ素(I)が単独の色を使っているなど,ちょっ と私個人としては納得しがたいところがあって,どうやって決めたのか興味があ るところです。  立体的に見せるという点で蛇足ですが,分子ソフトの多くはモノクロで分子モ デルを印刷する場合を考慮して,ドットパターンなどを使った表示などもできる ようになっています。質問編4のCAMD-I plus(矢野・本間;今は昔のN88BASIC版) は矢野先生が分子球をベタにしていたものを,やはりタイリングによってモノク ロ出力時の用途を考えたものでした。ついでに左上に白抜きで輝点らしきものを つけて少しでも立体的に見せようと苦労したという昔話もあります(詳細)。  現在のようにリアルで高度なな分子モデルの表示が可能になったのは,パソコ ンとソフトウェアの飛躍的な能力向上が背景にあると思っています。 >  また、一部の表記、たとえば、界面活性剤の仕組みなどで用いられているワイヤー > フレーム的な表記は、やはり分かりづらいのではないかと思います。それらの元デー > タは、他の先生たちからの引用・提供だったりして変更が難しい、などの問題点が存 > 在したりするのでしょうか。  界面活性剤のページは,ノートパソコンで見ても文字情報を含めてデータの表 が横一杯に収まるようにしたために分子の画像が小さくなって,構成原子全体と 各原子の結合の手の数がわかるようにワイヤーフレームにしたような気がします。 疎水基をワイヤーフレーム,親水基を球棒モデルにするなどの工夫をしても面白 かったかも知れません。  他の教材ページについても,分子の画像をもっと大きくした方がわかりやすい などいろいろアドバイスをいただいています。この辺もその時々の自分のパソコ ン環境で作ってしまった経緯もあり,あくまで教材サンプルとお考えいただいて, 利用者各位の使いやすいようにHTMLを書き直して活用していただいても差し支え ないと思っています。ChemscapeChimeのタグは懲り始めるとのめり込んでしまう ので(),要注意ですが (^^;;。  “インターネットを考える”の「(4)何をどう表現するか,“見たい”と“見 せられる”」もご笑覧ください。  以上,いただいたコメントからかなり横道に逸れた内容になってしまいました。 河合さんも分子の3次元表示にこだわりながらソフトを使いこなしていることを 知り,本当に分子がお好きなんだろうと感じました (^^)。 【注】河合さんには,掲示板に発言番号85を書き込んでいただいて以来,メール でパラシクロファンについての最新情報などもお寄せいただきました。またご提 供データの一部はWeb上に転載させてもらいました。

“かたち”と“色”の問題2 上の図で,右と左は同じですか違いますか?

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