卒業研究●泡沫の形状について[1987年度:佐藤恭子,鈴木和美]



【参考】本論文についてのNIFTY-Serve/FCHEM/MES_5 での発言


02914/02935 KYA01062  シェーマ         節約型の泡
( 5)   94/09/03 16:40

 朝日新聞1994年8月31日付けに出ていた記事について。
 空間を充填できる最も表面積の小さい多面体についての解がコンピュータで得られ、
いびつな五角形模様を含むゆがんだ14面体と12面体でできているそうです。
 以前はケルビン(絶対温度の単位になっている)の14面体(切頭8面体;正8面体
のすべての頂点を切り落としたもの)と考えられていましたが、アイルランドのダブリ
ン大のグループが新しい解を見い出したとのこと。
 3次元空間の分割については、

●高木隆司,「かたちの不思議」,p.115〜,講談社現代新書741(1984)

に詳しく、ケルビンの14面体に言及しています。
 1987年の学生(女子短大生)の卒論で、この本を参考に泡の形状のことをやって
もらいました。粘土で1cm位のボールをたくさん作り、六方最密充填や立方最密充填
に積み上げ、四方から板で押しつぶすとそれぞれ台形・菱形12面体、菱形12面体に
なることを試したり、ビールの泡や界面活性剤溶液の泡(foam)を写真に撮ったり(き
れいな写真を撮るのに苦労しました)、透明な塩ビ板でケルビンの14面体を作っても
らったりしました。泡の写真からケルビンの14面体いに近い形を探したのですが無理
でした。今写真を見直すと、結構5角形が多いのに気付きます。
 私自身もパソコンの3次元ソフトで電卓片手に(^_^;)ケルビンの14面体の集合体
やA型ゼオライト(ケルビンの14面体と立方体で組み立て)結晶を組み立てたりしま
した。
 この頃はバックミンスター・フラーにかぶれていて、多面体の本などを読み漁りまし
た。

●立花太郎,「化学を創ってゆく道すじ」,化学同人(1983)

の、分子のらせん状集合体の研究(右巻きか左巻きか、など)にも触発され、形という
ものにこだわるようになり、現在のハンドル名にもつながっています。

             この夏はビールの泡をたくさん観察した  本間善夫

◆“泡”についてのその他の参考文献 (文献[6]に『空間を充填できる最も表面積の小さい多面体』の詳細が出ています)

  1. 立花太郎,「しゃぼん玉」,中央公論社(1975)
  2. C.V.ボイス・著,野口広・訳,「シャボン玉の科学」,東京図書(1975)
  3. 杉山弘之・杉山輝行,「シャボン玉のはなし」,東京図書(1987)
  4. F.モーガン・著,儀我美一・監訳,「石けん膜の数理解析」,共立出版(1990)
  5. 雑誌特集『泡の科学と技術 −アワの作り方と消し方,そして利用の仕方−』,「油化学」,1993年10号
  6. デニス・ウィア,『魅惑的な泡』,科学朝日,p.14,1995年4号
  7. 山中照子・林英子,『楽しい化学の実験室 シャボン玉の魅力を探る』,現代化学,p.50,1996年8号


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