ナーヅの 


卵の殻が酢に溶ける!?



 グラスの中に酢と卵を入れたし、タイマー君とカメラマンもいるし、スタンバイOk?

実験スタート!! 酢に入っている酸の攻撃が始まった。だが、卵の殻の様子は変わりなし。
30分経過。つぶつぶ小さな泡見える。酢の攻撃が効いたようだ。
15時間経過。泡もふえたし、卵も一周り大きくなった。
30時間経過。殻がほとんどなくなったので、ちょっと取り出してみた。さわるとやわらかい。さあ、もうちょっと酢につけておこう!
55時間経過。すっかり殻がなくなって、中の薄い皮だけになった。所々透けて中が見える。
パシャッ!!薄い皮を破くと中身が飛び出してきた。「ねえ、これ食べれる?」・・・おわり


オトーからひとこと

 この実験は、NHKの「やってみようなんでも実験」(ホームページも開かれています)で、卵を使った実験をいろいろやってくれた時の1つです。番組には、NIFTY-Serveの「化学の広場」の電子会議室などでご活躍の、左巻先生が出演されました。
 炭酸カルシウム(方解石,石灰岩,大理石などの主成分でもある)が酸に溶けるのはよく知られていますが、食酢のような弱酸のうすい溶液(約5%)で、反応が起こるとは知らず、早速ナーヅと試したものです。24時間で、一度酢を入れ替えて実験しました。
 結果は上のように、2日ほどで見事に溶けてしまいました。主な反応式は、以下のようになるでしょう。

 この反応は、大昔地球上で、水に溶けた大気中の二酸化炭素とカルシウムイオンから、サンゴ虫などが炭酸カルシウムの形で固定化した(それで鍾乳洞やサンゴ礁ができた!)、以下の反応の逆反応でもあります。この反応が、大気中の二酸化炭素の減少に寄与したと考えられています。

 それから、最後に残った薄い皮(ゆで卵を思い出してもらえばいいでしょう)は、主にタンパク質でできていて、酢には溶けません。この皮は乾くと硬くなりますが、しばらく水に漬けると柔らかくなります。破けやすいので難しいですが、半透膜の実験にも使えるかも知れません。殻が無くなってくると卵が膨らんでくるのは、酢に入っている水が卵の中へ浸透していくためと、番組では説明していました。

 1つの実験からいろいろなことを考えることのできる化学って、面白いですね。


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