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●データ引用:壹岐伸彦,『チアカリックスアレーン −分離・センシング機能試薬の新規プラットホームの創薬−』,化学と工業,2001年2月号,p.124

◆ 今月も包接化合物/カリックスアレーンとチアカリックスアレーン ◆
(2001年3月9日掲載)
 先月のシクロデキストリンに続いて,同様に包接化合物を形成することができるチアカリックスアレーンについての記事を取り上げました。
 従来からホスト分子として知られていたカリックスアレーン1)は,4つ以上のp -アルキルフェノールがメチレン基(-CH2-)で環状につながった化合物で,アルキルフェニル構造で形成される空孔内は疎水的であり,疎水的な有機分子の認識などに用いられています。なおこの化合物名は,ギリシャの聖杯(カリックスクレーター)に似ていることから名付けられたものです2)。また,空孔の逆側に位置するヒドロキシ基を修飾して金属イオンを取り込むませることもでき,この場合はイオノフォア(イオノホア;親イオン性の化合物)としての機能を示します。
 上掲の解説は,そのカリックスアレーンのメチレン基(-CH2-)を硫黄で置き換えたチアカリックスアレーンの一段階簡易合成法を見出した筆者によるものであり,カリックスアレーンとも比較しながらその有用性が論じられています。構成は,
となっており,水中のppmレベルの有機ハロゲン化合物を完全に除去できるといった実例等が詳述されています。
(詳しくは上記解説を参考にしてください)


カリックス[n]アレーン(左)とチアカリックス[n]アレーン(右;SをSO2やSOにする場合もある).Rtert- ブチル基またはtert- オクチル基など.


チアカリックス[4]アレーン

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